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海外文学を中心に朗読した小説の分からないところを調べて、折角なのでまとめていきたいと思います。あなたの読書生活をお助け出来たら幸いです!

死者たち・1

ジェイムズ・ジョイス「死者たち」

オペラへの言及がされていたので、そこをまとめます。

 

ファースト・シアター

イギリスにある劇場らしいので、これのことかな?

 

ロイヤル・オペラ・ハウス - Wikipedia

1728年に俳優兼マネージャーであったジョン・リッチは、劇作家ジョン・ゲイの『乞食オペラ』を上演した。このオペラは大きな成功を収め、これにより得た資金を元に歌劇場の建設が決定、エドワード・シェファードの設計による初代のシアター・ロイヤル (Theatre Royal) が建設され、1732年12月7日に1回目の公演が行われた。

数百年の間、シアター・ロイヤルはオペラ以外の公演も行う劇場として機能している。これはチャールズ2世により認可された特許状が、ロンドンにおける演劇全般を開催する独占権を与えていたためである。

本格的な音楽作品としては、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルのオペラが初めて上演された。1735年から1759年の死去まで、ヘンデルの作品は毎シーズン上演されており、彼もコヴェント・ガーデンでの上演を前提としてオペラを作成していた。彼がジョン・リッチへと譲ったオルガンは舞台の最も目立つ位置に据えられていた。なお、1808年に発生した火事によってこのオルガンを含め、多くの物品は失われてしまった。

 

ミニョン

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メアリ・ジェーンが生徒にこのオペラのチケットを貰ったと話していました。

 

ミニョン(トマ)|フランスオペラの楽しみ

「君よ知るや南の国」はなんかで聞いたことがあるなあ。子供の頃何かでみたのかな。

 

youtu.be

凄くきれいな曲ですね。

ミニョン(トマ)あらすじ|フランスオペラの楽しみ

 

※原作はゲーテの「ヴィルヘルム・マイスター修行時代」ですが、ここではトマのオペラのあらすじを記載しています。

 

(1幕)

ハープと木管が奏でるノスタルジックな序曲の後、老いた吟遊詩人ロターリオが竪琴をつまびきながら歌います。
「あてもなく嵐のままに彷徨い続ける・・・あの子はきっと生きている、愛しい娘スペラータ! あの子を探して今日も彷徨う・・・」

町の人たちは「不幸で頭がおかしくなってしまった、可哀想に」と同情しますが、やがて「今日は日曜日!陽気に飲もう!」と忘れてしまいます。そこへジプシーの旅芸人一座が登場し、芸を披露し始めます。「次はミニョンだ、さあ踊れ、さあ!」と座長に促されても、疲れたミニョンは踊れません。

「あれは女の子? 男の子?」「どっちでもないよ、ミニョンさ!」と人々に笑われ、ますます踊ることを拒否し、親方に激しく叱られます。ついにムチで打たれ始めたのを見て、通りかかったヴィルヘルムが思わず止めに入ります。「やめろ!これ以上は僕が許さない!」とミニョンを庇うと、「わかった、しかしその分は誰が払ってくれるのかな?」と言う親方に、高みの見物をしていた女優のフィリーヌが投げ銭を放って手助けします。

思いがけない救いの手に「誰かしら?」と感激するミニョン、「止めずにはいられなかった!」というヴィルヘルム、「可哀相な子よ」と同情するロターリオ、成り行きに興味をひかれるフィリーヌと同僚のラエルト、そして親方との6重唱が美しく歌われます。

ラエルトはヴィルヘルムに「勇気を持って助けるとはご立派だ。僕たちは劇団員だが、一緒に飲みませんか」と誘います。
ヴィルヘルムは「僕は大学を抜け出して鳥のように自由に世界を旅し、20歳を謳歌している。途中で愛に出会えたらと夢見ているが見つからない」と自己紹介すると、「気に入った!でも僕が結婚に失敗したから言うわけじゃないが、恋なんかにだまされるなよ」と答えます。
「でも、さっきバルコニーで美しい女性に愛をささやいていませんでしたか」「フィリーヌのことか!?へっ!あんな気まぐれで不実で、月のように心が変わる女なんて!」と笑い飛ばします。

そこにフィリーヌが現れ、「あら、他に何か言うことは?」と美しい瞳でにらむと、ヴィルヘルムは「なんて美しい! あなたのその美しい瞳を見れば、彼の言うことなんて嘘だとすぐわかります!」とひと目でまいってしまいます。
「女が浮気だというなら、男はどうかしら? 愛されるだけの器量がないのに、女は不実だと嘆くだけではないかしら」とラエルトをピシャリとやりこめ、「美しさを競いましょう」と歌ってますますヴィルヘルムを魅了します。

彼らと別れた後、ミニョンがやってきて先ほど助けてくれたお礼を言います。
「可哀想だったね。君の名前は?」
「ミニョン。みんなそう呼びます」 (注:ミニョンとは、フランス語で「可愛い」の意)
「年は?」
「わかりません、誰も数えていないから」
「お父さんは?お母さんは?」
「いません・・」

そして、ただ一つ覚えているのは、湖でさらわれたこと、と言い、故郷を思って歌います。(「君よ知るや南の国」の題で知られる歌です)
オレンジの花が咲く国を知っていますか
黄金の果物が実り、赤い薔薇が咲き、鳥が歌い、蜜蜂が飛ぶ
陽光に溢れ、神に祝福された永遠の春のような場所・・・
ああ、どうして帰れないのでしょう、私はそこで生き、愛し、死にたいのに! 
私を待ってくれる家があることを知っていますか
広間には大理石の像があって、中庭の木陰でダンスをします
小舟が鳥のように浮かぶ湖へと続いている家・・・
ああ、どうして帰れないのでしょう、私はそこで生き、愛し、死にたいのに!

「それはイタリアでは!?」「分かりません・・・」

そこに親方が来て「この子が気に入ったのなら、今までかかった金を払ってくれるかな」と問われ、ヴィルヘルムは金を渡してミニョンを自由にしてやります。ミニョンが自由になったことをロターリオも喜び、竪琴を弾いて二人で「さようなら」と歌い合います。

フィリーヌの華やかな声がして、とりまきのフレデリックと共に現れます。フレデリックの伯父の男爵に、劇団の皆が屋敷のパーティに招待され、ヴィルヘルムも誘われて行くことになります。するとミニョンも「私も連れて行ってください」と頼み、最初は「君の父の役はできない」と拒んでいたヴィルヘルムも終いには折れて連れて行くことにし、ミニョンは旅芸人一座に別れを告げ、出発してゆきます。


(2幕)

男爵のお屋敷で、フィリーヌは身づくろいをしながら笑っています。「求愛者が列をなしてるわ。でも気を付けなきゃ、ここが見せ場よ。恋に酔った男たちをうんとからかって懲らしめてやりましょう」

ラエルトがやってきて、「豪華な部屋だな、でも男爵が鍵をもっているのだろ」と皮肉ります。美しいフィリーヌを見て「何てお美しい!優しい睫毛は我々を殺す矢だ・・・・どう?」とおどけると、「まあ、フレデリックかと思ったわ」とかわされます。
そこへヴィルヘルムも登場し、彼女の美しさを真剣に賛美します。彼についてきたミニョンが忠実につき従うのを見て、フィリーヌは「なんて献身ぶりかしら」と笑うので、ミニョンは気を悪くします。

ヴィルヘルムはすっかりフィリーヌの美しさの虜になった様子、フィリーヌもまた大勢の崇拝者に囲まれて「誰もが私の美しさを讃えるわ」と有頂天になっているので、ミニョンはますます悲しくなり、「ああ私は一人ぼっちだわ」と嘆きます。
「でもあの人に尽すのが望みなのだから、泣くのはやめましょう。彼女はお化粧をして奇麗になったのね、私も少ししていいかしら」と、フィリーヌの化粧道具で化粧を始めると夢中になり、奇麗になった自分に「これが私?」とうっとりして、衣装まで着け始めます。

そこへ窓から侵入してきたのはフレデリック。「彼女の部屋だ、胸が高鳴る。なんとか口説いて心を掴もう、彼女の愛を!」と歌います。
ヴィルヘルムが見つけて、「何をしている!?」「君こそ」と、お互いに恋のライバルであることに火花を散らし、剣を抜いて決闘になってしまいます。驚いて衣裳部屋から飛び出してきて止めるミニョン。フィリーヌのドレスを着て飾り立てた姿に、フレデリックは笑い転げます。

「なんて格好だ」と責めるヴィルヘルムにミニョンは謝りますが、もう子供では通用しないミニョンを見てヴィルヘルムは「僕を助けようとしてくれたのは感謝するが、人は何て言うか。もう君を守ってあげられない」と別れを告げます。(「さよならミニョン」)

さよならミニョン、元気を出して、泣かないで
悲しみもすぐに忘れる、君の若さなら
君の家族と祖国に出会えるよう、幸せに巡り合うよう祈って、別れよう
またいつか会える日を願って・・

二人が別れを告げているところに、フィリーヌが現れます。自分のドレスを着ているミニョンを咎め、「気に入ったのならあげてもいいのよ、誰もミニョンだとは分からないわ」と言うと、ミニョンはますますヘソを曲げてしまいます。「あの子は私に嫉妬しているんだわ」と冷笑するフィリーヌ。
ヴィルヘルムがフィリーヌに夢中なことにミニョンは悲しみ絶望します。その姿に同情したロターリオは、自分と同じように悲しく孤独だ、と歌います。

屋敷では、フィリーヌたちのお芝居シェークスピアの「真夏の夜の夢」が始まり、大喝采の中フィリーヌの「私は金髪のティタニア」の歌が聞こえてきます。素晴らしい歌声と美貌で取り巻きたちを熱狂させ、ブラボーの賛辞を一人占めにする女王のようなフィリーヌ。

と、そこへ「火事だ!」の声。可哀想なミニョンに同情するあまり、ロターリオが屋敷に火をつけたのです。
逃げまどう人々の中、ミニョンが逃げ遅れたことを知ると、ヴィルヘルムは夢中で炎の中に飛び込み、ミニョンを助け出します。


(3幕)

火事で重傷を負ったミニョンは、ヴィルヘルムとロターリオに付き添われてイタリアの屋敷で療養しています。ようやく熱も下がり静かに眠っているミニョンを見て、ヴィルヘルムは「神様、どうぞ彼女をお守りください」と祈ります。

屋敷の使用人が来て、「15年前にこのチプリアーニの屋敷の子供が湖でいなくなり、母は後を追って亡くなりました。父は子供を探して旅に出て、この屋敷にはもうずっと主がいません」と語ります。それを聞いたロターリオは、「15年? チプリアーニ?」と驚きます。

眠ったままヴィルヘルムの名を呼ぶミニョンを見て、ヴィルヘルムは彼女を愛しく思う自分に気づき、「純真な彼女は信じなかったが、無邪気な愛は熱い思いに変わっていた」と愛を歌います。

ミニョンは目を覚まし、「ここは何処? きれいな空・・・生き返ったような幸せを感じるわ。もう死も怖くない」と言うと、ヴィルヘルムは「愛の為に生きなくては」と励まします。お互いの愛に気づいた二人は、やっと思いを伝えあいます。

そこにロターリオが入ってきます。立派な服を着て別人のようになったロターリオは、ここは私の家だと言って思い出の品を取り出します。娘のスペラータが使っていたというスカーフや腕輪、聖書を見て、ミニョンは何かを思い出します。聖書を手に、かつて祈りを捧げる時に言っていた言葉を唱えると、ロターリオは「娘よ!」とミニョンを抱きしめます。

「ここはイタリアなのね!ああ、お父さん! 神様ありがとうございます。ここが私が生きたかった場所です」

(※ハッピーエンド版では、父娘とヴィルヘルムが幸福な大団円となり、ミニョンが死ぬ版では、ヴィルヘルムの腕の中で力尽きて幕となります)

 

 ミニョンはフランス語で「かわいい」という意味なのか…。「愛されるだけの器量がないのに、女は不実だと嘆いているのじゃないかしら」って痛いなあ。

 

イルマ・デ・ムルスカ

 

opera.hr

ブラウン氏がメアリ・ジェーンに張り合って昔の古きよきオペラ歌手をあげた中に出てくる一人。

カタカナでググって英語つづりがぱっと出てきたのがこの人だったので、代表として。めちゃくちゃキレイな人!ていうかこのページがおしゃれ。こんなサイト、このブログやってなきゃ一生見なかったろうな…。

http://opera.hr/images/articles/Ilma_de_Murska8.jpg  

http://opera.hr/images/articles/Ilma_de_Murska5.jpg

原文は読めない…けど…

 

Ilma de Murska | Broadway Photographs

 A soprano with a voice with nearly three octaves compass, Ilma de Murska was one of the great operatic and concert singers of the 1860s and 1870s in Europe and America. Born in Pest, Hungary, she trained in Vienna and Paris under the Marchesis. In 1863 she debuted in Florence at the Pergola. By 1865 she had sung in most of the European capitals. Utterly distinctive as a stylist, with an extraordinarily creative approach to characterization, de Murska became the Queen of the Night against which all others were judged in the latter half of the 19th century. She sang Mozart, Verdi, and Wagner with equal facility.

 

 3オクターブが出る1860~70年代のイギリス、アメリカで最も優れたオペラ歌手の一人で、ハンガリー生まれ、Queen of Nightと呼ばれた、みたいな感じですね。

 

ディノラー

www.youtube.com

WIkiがない?っぽくて詳細が日本語で検索するとよく分からなかったのですが、

ディノーラ: 零陵洞

 

・ディノーラ…羊飼いの女の子(コロラトゥーラソプラノ)。無邪気担当(狂ってる)。
・ホエル…ディノーラちゃんの婚約者(ハイバリトン)。シリアス担当(悪魔に誘惑されている)。
・コランタン…バグパイプ吹き(テノール)。コメディ担当(気が弱い)。

 主人公狂っちゃってるようで。結婚式が嵐のために中断され、悪魔にそそのかされた恋人が一年後に会おうと行ってどこかに行ってしまい、山羊とともに彷徨うディノーラ、っていう感じで始まるよう。《影の歌》は一年後、森に来て相手を探しているディノーラの歌のようです。(でも誰もいない) 悲しい話だなあ。面白そう。

 

次回の朗読ではいよいよ山のシーンに入ります。楽しみです。